春に桜の下でみる夢

願わくば花の下にて
春死なむ
誰かが歌った

20世紀の末
憧れのお姉さんは突然
春の嵐になった
絶対に幸せにしてくれる?
絶対に私を裏切らない?
一生愛し続けてくれる?

僕は
あなたが好きだ
としか言えなかった
生まれ変わったら
一緒になりたい
としか言えなかった

東日本大震災の年
10年が過ぎて再会した
10年前の答え
絶対に幸せにする!
絶対に裏切らない!
一生愛し続ける!
僕は電車で10時間をかけて会いにいった
10年の時間は大きな障害だったけれど
偶然に東日本大震災が起こって
数ヶ月を一緒に暮らした
いっぱい笑って
いっぱい泣いて
いっぱい喧嘩して
幸せいっぱいの
夢のようなひとときだった

あの人は
今も春の嵐のように
ふと僕の人生に現れる

あの人がいる夢のような生活が僕の現実か
あの人がいないとき思い出を書き綴る生活が僕の現実か
わからない
でも
夢でも現実でも
幸せなならどちらでもいいじゃないか

春に桜の下でうたた寝しながらみる夢のような人生だ

願わくば花の下にて夢みなむ
その如月の望月のころ